■通りがかりのイラン人が…

 チャールースの街でカスピ海を見ることができましたが、「世界一の湖」といっても南北1000キロもあるんで対岸なんてまったく見えません。つまり、ただの海岸でしかなかったわけです。海の家みたいなものもありました。舐めてみたら普通の海水より塩分が少なかったですけどね。

 チャールースで昼飯を食べていたら、運転手がホテルに電話して何か言ってます。言葉が通じないのでホテルの人間に通訳させたのです。「追加料金を払えばラムサールまで行ってやる」というのです。そう、「ラムサール条約」で名高いラムサールです。料金は2万リアル、7ドル程度です。これは、行くしかないでしょう!

 ラムサールでは美しい峠の茶店(チャイハネ)でのんびりと美味しいお茶を飲みました。景色はまるで箱根の山中といった感じです。通りがかりのイラン人が日本語で声をかけていきます。出稼ぎで日本に行ったことのある人がたくさんいるのです。

フランス・ワールドカップ・アジア一次予選第2組のテヘラン・ラウンド、文字ばかりの「一般入場券」
フランス・ワールドカップ・アジア一次予選第2組のテヘラン・ラウンド、文字ばかりの「一般入場券」

 ただ、ラムサールでのんびりしてしまったおかげで帰りはもう真っ暗でした。

 何も知らなかったら車内で眠りこけていたことでしょう。しかし、私は知っていました。この真っ暗な夜道の片側は断崖絶壁なのだということを! しかも、この道はテヘランからヨーロッパに抜けるメインルートなので、大型トラックが次々とやって来ます。「命の危険を感じた瞬間」でした。

 ちなみに、イランはこのグループを5勝1分0敗で圧勝して、最終予選に進み、日本代表とジョホールバルで第3代表決定戦を戦うことになるわけです。

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