――すでにブンデスリーガ優勝は決めています。その立役者はやはりハインケス監督でしょう。彼の素晴らしいところは?
「選手とマンツーマンでしっかりコミュニケーションをとれるところです。例えば、ロッベンとリベリは扱いが難しい選手。試合に出られないと怒りますからね(苦笑)。二人に限らず、あのチームにはプライドの高い選手ばかりが集まっている。誰もがプレー機会を求めているんです。そのあたりのマネジメントが、ハインケスはすごく上手。先発で60分使った選手を次はベンチに入れて、最後の30分だけ使う。そういうのが上手い。それから、とても人間的なところも長所です」
――といいますと?
「最近はデータばかりに注目する監督が増えました。パスやドリブル、ヘディングの数値がいいとか。でも、人間的な部分をもっと考えるべきでしょう。バイエルンが強いのはフロントの良さも挙げられます。へーネス(会長)とルンメニゲ(CEO)のコンビネーションが素晴らしいです。フロントに真のプロフェッショナルが揃っているから、下も上手く機能するんです。昔はたまにつまらなかったけど、サッカー自体も面白くなりました」
――この数年でポゼッション志向が強まりましたね。
「いや、ボールポゼッションだけじゃない。ポジショニングがいいですよ。特にトライアングルの作り方が面白い。例えば、リベリがサイドでボールを持つと、絶妙なタイミングでボランチがサポートする。もちろん、誰もがボールをキープする力を持っていますし、相手にプレッシャーをかけられてもナーバスにならない。それから3~4人のコンビネーションも見応えがありますし、ミュラーの常にハングリーなところも良いですよ。レヴァークーゼン戦では4-1になっても、相手へのプレッシャーを怠らず、もう1点奪うんだという意志を示していました」
※第4回に続く
(この記事は2018年5月25日に発行された『サッカー批評89』(双葉社)に掲載されたものです)