上位をうかがう可能性は十分
今季の新体制発表会で、会場を訪れたファンが大きく沸く場面が2度あった。1人ずつ今季のメンバーを発表する際、中村航輔とオルンガの名前が呼ばれると、まるでサプライズであるかのような拍手と歓声が響き渡った。
2人はこのオフ、他クラブに移籍するのではという噂が流れていた。日本代表GKと、J2ながら昨季27得点(うち8点は最終節で固め取りしたものではあるが…)したFWならば複数の選択肢もあったはずだが、クラブは留め置くことに成功した。
その攻守の顔のみならず昨季の主力に流出はなく、ベースはしっかり継続されている。さらに韓国代表GKキム・スンギュ(←蔚山現代FC=韓国)や高橋祐治(←サガン鳥栖)、三丸拡(←サガン鳥栖)といったJ1で力を証明してきた選手の他、東京五輪世代の大南拓磨(←ジュビロ磐田)らも獲得。さらに対戦相手として力を見極めた末に獲得した北爪健吾(←横浜FC)、昨季36試合22ゴールの呉屋大翔(←ガンバ大阪、昨季は期限付き移籍でV・ファーレン長崎)といった、J2での活躍をバネにさらなる飛躍が期待できる新戦力もいる。
ルヴァンカップでは実力者のそろうG大阪に1-0と競り勝ち、リーグ初戦では身体能力を見せつけたオルンガの2ゴールなどで、北海道コンサドーレ札幌から4得点を奪って勝利している。ネルシーニョ監督の戦術は特殊なものではないものの、個人の力をベースに組織は確立されている。さらにオルンガら昨季J2で力を示した選手たちの働きぶりにはJ1でも通用する予感が漂っており、期待は高まる。
資金力もタイトル獲得経験もあり、下部組織からの有望選手の続々と上がってくるクラブが、どうして3度も降格してしまったのかは疑問が消えないところではあるが、今季ここまでの歩みは正しいものであるように映る。地道にチーム力を上げてきただけに大崩れもなさそうで、毎年混戦となるJリーグで上位をうかがう可能性は十分にあるだろう。