浦和の「完璧な連動」はなぜ生まれたのか? 鹿島を沈めた計算外の組織力と個の修正力!プレー動画で徹底検証【J1浦和「鹿島戦」分析(3)】の画像
当日のシステム変更に関して、「選手同士でいろいろ確認しながら、前の選手と後ろの選手で守り方や攻め方をある程度はっきりさせられた」と語った渡邊凌磨。選手同士の話し合いが今後の浦和の浮上につながるはずだ。撮影/原壮史(Sony α1使用)

 鹿島アントラーズを相手に、試合当日の朝に告げられた「3バック」へのシステム変更を見事に機能させ、見事な勝利を収めた浦和レッズ。戦術アナリスト・川本梅花氏の分析コラム最終回となる本稿では、実際の試合映像(ハイライト動画)と照らし合わせながら、ピッチ上で何が起きていたのかを徹底解剖する。
 なぜ浦和のプレッシングは鹿島を苦しめたのか? そして、システム変更という“偶然の産物”を機能させた、選手たちの絶妙な距離感と判断力とは。Jリーグ公式ダイジェスト映像と共にお楽しみいただきたい。 

 ここからは場面に従って試合を解説していく。試合分析は、J.LEAGUE Internationalの以下のダイジェストに追順する。読者の皆様は、文章を読む際に、試合と照らし合わせて読み進めてほしい。

https://www.youtube.com/watch?v=UtX9pGdCaik

 

【11分】鹿島の守備を惑わせた、渡邊凌磨と小森飛絢の「絶妙なポジショニング」

 金子拓郎からのパスを渡邊凌磨が振り向きざまにシュートを放つ。ボールはゴールキーパー早川友基の正面をつく。

 まず、左サイドバックの小川諒也が金子にプレスにいく。金子が左足でパスを受けてフリック(パスをダイレクトで軌道を変えるプレーのこと)気味に渡邊にパスを出す。

 金子が半身に構えた時点で、小川は金子の左足のほうにプレスに行かないとならない。右足のほうにプレスに行っているので、小川が金子に引き出された形になっている。

 相手のセンターバックの間に渡邊がポジショニングして、センターバックと右サイドバックの間に小森飛絢が立っている。渡邊と小森、どちらにボールが出されても鹿島の守備側にとっては、守りづらい状況になっている。

 そうした状況下であれば、左センターバックのキム・デヒョンがもっと中に絞って渡邊に近づいて行かないとならない。そうすればインターセプトも狙えた。渡邊がアクションを起こしてから、キムが動いているのはいただけない。

【19分】鹿島にとっては不運な失点。ショートコーナーが生んだ“ブラインド”

 鹿島はマンツーマン守備をとる。最近はどのチームも普通にコーナーキックを蹴るのではなく、ショートコーナーを使ったやり方を採用している。

 この場面もショートコーナーを使ってクロスがあげられる。ニアサイドに蹴られたボールに小森がへディングで合わせようとする。早川にとっては、小森がブラインドになってボールが見づらい。鹿島にとっては、不運な失点だった。

【20分】連動したプレスからのボール奪取。渡邊凌磨は「あえてスピードを落とすべき」だった?

 この試合は浦和のインターセプトが何度も見られた。金子と小森が鹿島のセンターバックにプレスに行く。その動きに連動して稲垣がボールを受ける選手にプレスをかけてインターセプトした。ボールは小森に渡ってから左サイドの渡邊に出される。

 ここで渡邊は、ペナルティエリアに入ってから並走する三竿健斗と同じスピードでドリブルする。ここであえてスピードを落としたほうが相手は守りにくい。渡邊と同じスピードで三竿がついていけたから、守備側はやりやすかったに違いない。

【45分】守備側を困難に陥れる、ポケット進入からの「マイナスのクロス」の威力

 ここでもインターセプトでボールを奪った後に、ポケットに進入してマイナスのクロスを入れる。オナイウが後ろから飛び込んでヘディングを放つ。

 ゴールラインからマイナスの方向に上げられたクロスは、ディフェンダーにとっては守備がしがたい。守備する側は、ボールと人が同時に視界に入れないとならない。しかし、マイナスからのパスの場合、同時にボールと人を視野に入れるのは厳しい。したがって、ボールを見るのか人を見るのかのどちらかに決めないと守備ができづらい。

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