■「情熱を失わずに」受け継がれた日本サッカーの魂
後半開始から横浜FMは谷村海那を投入して中央での推進力を高めるが、福島はまったく慌てない。前半同様に自分たちのスタイルである流麗なパスサッカーを貫き、ボール保持率で上回って主導権を握り続けた。
嫌な流れを変えたいコリカ監督は、後半18分に待望の三井寺をピッチへ送り出す。16歳の神童の登場に日産スタジアムのスタンドは大きく沸き立ったが、それでも福島は試合の流れを手放さなかった。
しかし、最終的に勝者のメンタリティを見せつけたのはJ1の横浜FMだ。後半27分から投入された鈴木冬一が抜群の対人守備で福島の攻撃の芽をことごとく摘み取り、見事に1-0で逃げ切ってみせた。
この日、59歳のカズに出場機会は訪れなかった。しかし試合後、ピッチで短距離ダッシュを4本こなしたレジェンドは、クールダウンを行っていた三井寺のもとへ静かに歩み寄った。そして、自らユニフォームの交換を申し出たのだ。
16歳の三井寺にとって、カズは物心ついた頃からすでに歴史上のレジェンド。福島との対戦が決まると、親から「ユニフォームを交換してもらったら?」と背中を押されていたという。
憧れの存在から直接かけられたのは、「今持っている情熱を失わずに、これからも頑張ってください」という温かくも重みのある言葉だった。
日本のサッカーを盛り上げる——。Jリーグ創設のその日から今日まで、カズの胸の内で燃え続けてきたその熱き情熱は、雨上がりのピッチで確実に新たな世代へと手渡された。
■試合結果
横浜F・マリノス 1-0 福島ユナイテッドFC
■得点者
35分 諏訪間幸成(横浜FM)

























