■ハキミが背負っていた重圧と、世界が感動した涙の抱擁

 2大会連続でフランスの厚い壁に阻まれ、ベスト8で姿を消すこととなったモロッコ代表。主将としてチームを牽引したハキミだが、実は今大会、ピッチ外で非常に重い十字架を背負いながらのプレーとなっていた。

 ハキミは2023年2月に当時24歳の女性から性的暴行容疑で告訴されており、開幕直前の今年(2026年)6月19日には、フランスの控訴裁判所によって正式な刑事裁判への付託が決定したばかりなのだ。有罪となれば最高で15年の懲役刑が科される可能性もある重大な事件。本人は一貫して容疑を否認しており、モロッコ代表主将として今大会も全試合に出場し続けているものの、その精神的なプレッシャーは計り知れないものがあったはずだ。

 この日のフランス戦では、立ち上がりからハキミの右サイドを狙われ、ファンからはSNS上で「開始当初から(ハキミの守備対応が)ひどかった」と、戦術的な破綻の矛先を彼に向ける厳しい声も上がっていた。

 しかし、強烈な重圧と戦いながら最後までピッチを走り抜き、試合終了のホイッスルとともに崩れ落ちて涙を流すハキミのもとへ、真っ先に駆け寄ったのはかつての盟友エムバペや、現チームメイトのドゥエだった。彼らが敗れたライバルを優しく抱きしめ、健闘を称え合うシーンは、「これぞ友情」「スポーツの素晴らしい一面」として世界中に大きな感動を呼んだ。

 さまざまな背景が交錯し、世界最高レベルのスピードスターたちが激突したこの一戦は、間違いなく今大会のハイライトの一つとして語り継がれていくことだろう。

■試合結果

フランス代表 2-0 モロッコ代表

■得点者

60分 キリアン・エムバペ(フランス代表)
66分 ウスマン・デンベレ(フランス代表)

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