■ 日本代表に入るための「シビアな現実」と仲間たち

 ひときわ子どもたちが真剣に聞き入ったのは、「日本代表に入るにはどうすればいいですか?」という問いに対する、中村選手の現実的な回答だった。

「現実的に言えば、やっぱり海外でプレーしていないと、今の日本代表にはなかなか入れないと思う。もちろんJリーグからも入れるけど、今の代表メンバーを見てもらえば分かる通り、ほとんどの選手がヨーロッパでプレーしているから。海外からオファーがあれば、迷わず行くのが(代表への)一番の近道だと思います」

 子ども相手ながら、一切のごまかしがない回答。25歳の若さながら19歳で海を渡り、欧州4か国を渡り歩いてきた中村選手だからこその言葉なのだろう。

 厳しい世界でありながらも、代表チームの絆は深い。後輩たちから代表で仲のいい選手を聞かれると、スタッド・ランスでも共闘する伊東純也選手をはじめ、W杯後に一緒にバリ島を旅した瀬古歩夢選手、久保建英選手といった同世代の仲間の名前を挙げ、ピッチ外でのリラックスした表情をのぞかせていた。

■ さらなる高みへ。次なるステージへの野心

 Q&Aの終盤には、サポーターも気になっているであろう「今後の移籍先」についての話題も出た。

 去就に注目が集まる中、中村選手は「移籍先ですか? いや、それ僕が一番知りたいですよ(笑)!」と両手を広げてみせ、グラウンドは笑い声に包まれた。具体的な明言は避けたものの、その笑顔の奥には「もっとレベルの高いところで、さらなる高みを目指したい」という意欲がのぞいていた。

 質問をした全員に対し、自分から手を差し出して握手を交わした中村選手。

 ピッチ上でのプレーだけでなく、こうした真摯な対応も、彼が多くのファンに支持される理由の一つだろう。ワールドカップという大舞台を経て、さらなる高みへと羽ばたく彼の新シーズンに注目が集まる。(取材協力/三菱養和会)

【中村敬斗(なかむら・けいと) プロフィール】 2000年7月28日生まれ、千葉県我孫子市出身。2013年から三菱養和SC巣鴨ジュニアユースに所属。2017年のU-17ワールドカップに出場しハットトリックを達成すると、2018年、高校2年生でガンバ大阪へプロ入りを果たす。 2019年にオランダ1部FCトゥウェンテへ移籍後、ベルギー、オーストリアのクラブを経て、2023年にフランスのスタッド・ランスへ完全移籍。2024年10月には欧州5大リーグで日本人初となる5試合連続ゴールを記録し、フランス1部で日本人初となる2ケタ得点を達成した。2025-26シーズンはフランス・リーグ・ドゥでプレーし、公式戦14ゴール3アシストを記録して2年連続での2ケタ得点を達成。
 日本代表には2023年3月に初選出。デビューから国際Aマッチ6試合で6ゴールという54年ぶりの快挙を成し遂げた。2026年の北中米ワールドカップメンバーに選出され、本戦では全4試合にスタメン出場して1ゴール1アシストを記録。

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