■ 錯綜する情報と指揮官の沈黙。一人リハビリを続けるエースの孤独

 オランダ戦で左ヒザを負傷した久保はメキシコへ赴くことはできず、現在もチームのベースキャンプ地であるナッシュビルに残り、一人孤独なリハビリを続けている。それはつまり、決して「小さなケガ」ではないという何よりの証拠だ。現地時間18日の時点では、確実に左脚を引きずる痛々しい姿が目撃されていた。

 現地メディアや各種報道では「今大会中の復帰は絶望的」「いや、軽傷で済んだ」と諸説が入り乱れ、情報が錯綜している。しかし、日本サッカー協会は「リハビリ期間は公表しない」と徹底した情報統制を敷いている。チュニジア戦の前日に行われた公式記者会見でも、森保一監督は久保の負傷に関するメディアからの質問を正面から受け流し、「それについては答えられない」という主旨のコメントで固く口を閉ざした。そこには、何としてもエースを守り抜くという指揮官の親心が透けて見える。

 ただ、久保が遠藤航に続く「2人目の完全離脱者」とならなかったことだけは、日本にとって不幸中の幸いだ。

 オランダ戦では「遠藤の分まで戦う」という強烈な一体感がチームを包み込み、ベンチには背番号6のユニフォームが掲げられた。あの激闘は、彼も含めて“ワンチーム”であることがピッチ上で証明された瞬間でもあった。そして今度は「久保のために」と、チームはさらに強固にまとまろうとしている。

 と言っても、決して久保をただ慰めているわけではない。オランダ戦からチュニジア戦までの間、久保の状態について問われた選手たちは、すでに彼の負傷すらもチームを勝たせるための「一つのモチベーション」へと昇華させているようだった。

 たとえば、チーム最年長のあの男は、力強い眼差しでこう語っている。

(後編へ続く)

  1. 1
  2. 2