■神様との再会
試合が終わって記者会見が始まる前に僕はトイレに向かいました。最高気温24度という予報でしたが、実際には気温は20度ほどまでしか上がらず、湿った風が肌寒かったのです。
トイレに入ると、すぐ隣にいたのはジーコでした。
2人で顔を見合わせて挨拶をかわしました。僕が「ボア・タールジ」と言葉を懸けると、ジーコは流暢な日本語で「こんにちは」。そして、万感の懐かしさを込めて笑顔を交わしたのでした。
「お互いに年を取ったね。元気でいてくれてうれしいです」
僕はそんな気持ちでした。
ジーコの気持ちは分かりません。第一に、僕とジーコではまったく立場が違います。
ジーコはブラジルのサッカー史に残るレジェンド。世界中のサッカー関係者で知らない人はいないでしょう。一方の僕は、無名の(それも日本限定の)サッカージャーナリストです。
ジーコ自身だって、僕のことをどれだけ認識してくれているのか……。
でも、味の素スタジアムのトイレで笑顔を交わした時、互いに懐かしさを覚えていたことは間違いありませんでした。












