順風満帆に見えた日本サッカー界に、久々の大事件が起きた。サッカー女子日本代表(なでしこジャパン)を率いていたニルス・ニールセン監督の事実上の「更迭」である。男子代表であれば大騒ぎになるはずの解任劇だが、世間の反応はあまりにも静かだ。なぜアジアカップ優勝直後にクビを切られたのか? そして、この決断は男子代表の「次期監督選び」にまで影響を及ぼす恐れがあるという。サッカージャーナリスト後藤健生が、なでしこジャパン更迭劇の「深淵」と、次期監督人事の「行方」に斬り込む!
■契約を主導した本人の「思い切った」決断
「思い切った」という2つ目の理由は、ニールセン監督更迭を決断したのが佐々木則夫ナショナルチームダイレクターだったことだ。
つまり、ニールセン監督との契約を主導した本人である。
前任の池田太監督はリアリズムのサッカーで結果を出していた。
オーストラリアとニュージーランドで開かれた2023年の女子ワールドカップのグループリーグでのスペイン戦では組織的な守備とカウンターを武器に、この大会で初優勝を遂げることになるスペインを4対0のスコアで破り、準々決勝進出を果たした(スウェーデンのパワーの前に完敗)。
翌2024年のパリ・オリンピックでは初戦のスペイン戦は1対2の惜敗に終わったが(清水梨紗の負傷交代がなかったら引き分けに持ち込めた可能性が高い)、ブラジル相手に逆転勝ちして2位通過。準々決勝では同五輪で金メダルを獲得することになるアメリカ相手に守備で大健闘して延長まで持ち込んだが、0対1で敗れた。
しかし、佐々木女子委員長(当時)は、このときの守備的な戦い方に不満を持ち、池田監督の退任と外国人指導者の登用を決断したと言われている。そして、佐々木委員長はニールセン監督と契約を結んだ。
30年前のファルカン解任事件での川淵委員長と同じく、監督との契約当事者だった佐々木氏自身が今度はニールセン監督の更迭を決断したのだ。
もちろん、「任命責任」は問われなければいけないのだろうが、自ら更迭を決断したことは評価していいだろう。













