三笘薫の決勝点と「マラドーナの5人抜き」を許す英国の不思議、W杯までに「克服したい」日本の課題【イングランド撃破の日本代表、歓喜の裏の「世界基準」との残酷な差】(2)の画像
コール・パーマーの球を奪って、ゴールに結びつけた三笘薫。三笘のゴールが生まれたのは、「マラドーナの5人抜き」を許したイングランドの国民性ゆえか? 撮影/原壮史(Sony α1使用)

 サッカー日本代表は、敵地ウェンブリーでイングランドを撃破するという歴史的快挙で3月の英国遠征を締めくくった。親善試合とはいえ、世界屈指のタレント軍団からの初勝利は、2か月後に迫るワールドカップでの躍進を強く予感させる。だが、手放しで喜んでばかりはいられない。歓喜の裏には、世界基準との残酷なまでの「差」を示すデータが潜んでいた。このままでは本番で足元をすくわれかねない――。サッカージャーナリスト大住良之が、イングランド戦で突きつけられた「勝ってなお残る課題」を徹底検証する。

■カゼミーロだったら「つかんでいた」?

 日本が中盤でイングランドのボールを奪った数少ないケースのひとつが、前半23分の決勝ゴールの場面だった。イングランドのMFコール・パーマーは、ボールを受けるとき、自分の外側から三笘薫が迫ってくるのを見ていた。そして三笘をブロックするように日本のゴール方向へ体を向けたのだが、三笘はパーマーの足の間にあったボールを巧みにかっさらい、そこから鎌田大地上田綺世、三笘と小さなパスをつないで打開、三笘が一挙にスピードを上げたところからチャンスが生まれた。

 この場面で不思議だったのは、イングランドが三笘のスピードアップに何も手を打たなかったことだ。自分の横を三笘にすり抜けられたのはまだ少年の面影が残るMFコビー・メイヌーだったが、彼はファウルにならないよう、体を引くような動作まで見せた。これがもしブラジル人選手だったら(とくにカゼミーロだったら)間違いなく三笘をつかんだだろう。つかみ倒すのではなく、微妙につかんで三笘の前進のスピードを落としただろう。このあたり、「さすがマラドーナに5人抜きをさせたイングランド」という感じだったが、このプレーから日本の決勝点が生まれることになる。

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