■日本と韓国が「ほぼ毎年」戦っていた時代

 話は数十年前、とある「日韓定期戦」に飛ぶ。

 最近はまったく話題になることもないが、1972年から1991年までの約15年間にわたって、日本代表と韓国代表はほぼ毎年親善試合を行っていた。当時、東アジアのサッカーのレベルは世界のトップからほど遠く、欧州や南米の代表チームとは対戦してもらうことさえできなかった。世界のレベルに追いつくには、日本と韓国が互いにしのぎを削りながら成長していくしかない――。日韓の両サッカー協会の考えがまとまって実現した大会だった。

 1972年9月14日に東京の国立競技場で開催された「第1回定期戦」を皮切りに、ほぼ毎年、交互に親善試合を組んだ。第1回大会は大雨のなかの試合、日本は前半に先制したものの後半韓国の反撃にあって2点を失い、元気よく走り回る韓国を相手に完全な劣勢に立たされた。そしてスタジアムの電光掲示板の時計は45分を前にストップし、アディショナルタイムに入ったことを示す。1-2のまま日本の敗戦が濃厚となった。

  1. 1
  2. 2
  3. 3