サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト大住良之による、重箱の隅をつつくような「超マニアックコラム」。今回は、「やっちまった~!」場合に、どうすべきかについて。
■テレビ中継にとって「おいしい」ショット
見事なコンビネーションプレーで相手の守備ラインを突破し、ペナルティーエリア右からゴールに迫るアタッカー。その左からDFが激しく寄せ、シュートをブロックしようとする。しかしアタッカーは少しも慌てず、GKを見てシュートに入る。ボールはゴール左隅に飛ぶ。だがGKが信じ難い反応を示し、伸ばした右手の先でかろうじてボールに触れる。ボールはわずかに左ポストの外に切れていく…。
サッカーで最もスリリングでエキサイティングなシーンだ。守備側のファン、攻撃側のファンを問わず、スタンドの観客の誰もが大きな声を上げる。攻撃側のファンの声がため息に変わり、守備側のファンからはGKに対する賛美と感謝の声が上がる。
そのとき、決定的なシュートを防がれたアタッカーはどうしているだろうか。世界中のサッカーで今、共通しているのが、大声を上げ、天を仰ぐことだ。そして多くの選手が、両手で頭を抱え、あるいは顔を覆う。テレビ中継にとって「おいしい」カット。プレー全体を追っていたカメラから即座にアタッカーのアップ映像に切り替えられ、そのドラマチックな表情を何百万、何千万という人々に送り届ける…。













