【2025年J2「第38節」ベガルタ仙台VSいわきFC「徹底分析」】J1昇格プレーオフ圏の仙台は“意図的な崩し”を繰り出したが痛恨の失点【戸塚啓のJ2のミカタ】(1)の画像
ベガルタ仙台の森山佳郎監督  撮影/中地拓也

■仙台は序盤から狙いどおりの攻めを見せ

【J2リーグ第38節 11月29日 14時04分キックオフ 仙台 0ー1 いわき ユアテックスタジアム仙台】

 ドラマには歓喜と悲劇がある。歓喜に浸るチームがいれば、悲嘆にくれるチームもある。

 11月29日のユアテックスタジアム仙台は、悲しみと虚しさ、切なさに包まれた。J2リーグ最終節(第38節)で、ベガルタ仙台は0対1で敗れたのである。前節まで6位だった仙台は7位のジュビロ磐田に抜かれ、J1昇格プレーオフ圏内から滑り落ちてしまった。

 この日の対戦相手は、9位のいわきFCだった。田村雄三監督が指揮するチームは、3-1-4-2を基本としつつ守備時は4バックに可変する。仙台からすれば、相手が4バックへ整う前にゴールへ迫りたい。

 そのとおりの攻撃を、序盤から繰り出した。7分、右SB高田椋汰が、センターサークルを超えたところからアーリークロスを送り込む。3バックの背後を取ったFWエロンが、ペナルティエリア内からワンタッチでプッシュした。しかし、オフサイドで取り消されてしまう。

 32分にも、狙いどおりの崩しを見せる。ボランチ鎌田大夢が4-4-2の「4」と「4」の間でボールを引き出す。中盤左サイドでフリーで前を向いた。

 左サイドのタッチライン際には、MF相良竜之介が開いている。いわきの右SBは、鎌田にも相良にも明確にアプローチできない。ボールは相良へわたり、ゴール前へクロスが入ると、FWエロンがニアサイドでヘディングで合わせる。相手GKに弾かれたボールは、右MF荒木駿太がプッシュする。ゴールカバーに入ったDFにかき出されたが、仙台からすれば意図的に崩し切ることのできた場面だった。

  1. 1
  2. 2
  3. 3