■水戸は7試合ぶりの黒星

 水戸がサイドハーフの突破力とサイドバックの攻撃参加を特徴としているように、千葉も両サイドをストロングとする。同じ4-4-2のシステムで真正面からぶつかり合うから、サイドの攻防で優位に立つのは簡単ではない。

 U―20ワールドカップから帰国してチームに合流した齋藤は、何度か鋭いドリブルを見せたもののゴールネットをこじ開けることはできなかった。その一方で、千葉のサイドアタックに対するプレスバックで守備陣を助けた。右サイドハーフの加藤も守備で献身性を発揮した。中央で構えるMF大崎航詩とMF山崎希一は、相手サイドハーフのカットインを予測してスペースを消していった。

 前半から決定的なチャンスを作り出せなかったが、千葉にも得点機を与えなかった。後半アディショナルタイムにバーを叩かれたシーンは、この試合の千葉のハイライトシーンになるはずだった。

 ところが、ポストに救われた直後の90+6分に、相手の左CKから失点してしまうのである。

 0対0のまま終盤を迎えたゲームでは、セットプレーから試合が動くことが多い。水戸の選手たちもそれは理解していたはずだが、ゴールを決めた千葉MF杉山直宏のクオリティが優った。

 水戸は7試合ぶりの黒星で、首位から2位に転落した。気になるのは残り5試合の対戦相手である。北海道コンサドーレ札幌ヴァンフォーレ甲府RB大宮アルディージャ、長崎、そして大分トリニータとの対戦を残している。

 札幌はJ1昇格プレーオフ圏の6位と勝点10差で、「何か」を起こすには勝ち続けるしかない。甲府はJ1昇格にもJ3降格にも絡んでいない立場だが、水戸戦は彼らのホームゲームだ。上位を叩くとの意気込みがエネルギーになる。

 RB大宮と長崎との連戦は、説明不要だろう。サバイバルマッチである。

 大分との最終節は、水戸のホームゲームである。現時点でJ2残留ギリギリの17位にいる大分が、どのポジションで最終節を迎えるのかによって、試合の意味合いやかかるプレッシャーが変わってくる。

 ラスト5試合は、どのチームも一戦必勝だ。相手どうこうではなく、自分たちの準備と試合へ臨むスタンスが問われる。どれだけ自分たちへ矢印を向けられるのかが重要で、実はそれがシーズン最終盤では難しいものなのだ。

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