■鰻屋で「フグ」を注文しても

 日本の「インド料理」の常識となっているのが「ナン」です。

 小麦粉などを発酵させてから、タンドゥールという窯の内側に貼りつけて焼いたパンのことで、日本では、ほとんどのインド料理店にナンが置いてあって、ライスかナンを選択するようになっています。

 しかし、インドではナンを提供するのは北インド料理の高級店くらいで、鉄板を使って焼けるチャパティのほうが一般的です。

 日本でナンが普及したのは、日本で唯一タンドゥールを製造している東京の会社の人が、すべてのインド料理店に積極的に営業をしかけた結果だそうです。

 だから、あなたがインドに行って、レストランに入って「ナン」を注文しても、けげんな顔をされるだけでしょう。

 考えてみれば、当たり前のことです。

 すべての「日本料理店」で寿司と天ぷらが食べられるわけではありませんし、鰻屋に入ってフグを注文しても断られるに決まっています。

 韓国では、同じ焼肉系でも豚か牛かといったように、それぞれ専門の店があるのですが、あるとき、テジカルビ(豚カルビ)専門店に入ったある日本人サッカー・ジャーナリストが「牛肉の焼肉を食べたい!」とダダをこねたため、親切な店主がわざわざ他の店まで牛肉を買いに行ってくれたという噂を聞いたことがあるのですが……。本当なんでしょうかね?

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