■求められる「リスクを冒す覚悟」
キックオフ直後には先述の通り、前線からプレッシャーをかけたものの、その後は日本は引き気味になってしまった。ミドルブロックを敷くつもりだったのだろうが、守備のゾーンは「ミドル」ではなく自陣のかなり深い位置になってしまった。
しかも、ブラジルに押しこまれたのではなく、ブラジルをリスペクトしすぎて自ら引いてしまったように見えた。
相手にボールを支配されると、堂安や中村はすぐにCB3人と同じラインまで下がって、フラットな5バックを形成して守っていたのだ。その結果、重心が後ろに下がり、前線ではシャドーの久保、南野が相手のCBと同時にSBも見なくてはならず、プレッシャーはかけられなくなった。そして、ブラジルに危険な位置でボールを回された。
日本代表は「WBに攻撃的な選手を配置することの危険」を、意識しすぎたようにも見えた。
その後、後半に入って、2点を追う状況の中で前線からプレッシャーをかけることで形成を逆転することに成功したのを目撃することになっただけに、前半のうちからもっと積極的な守備をしていればという気持ちが強くなる。
試合後の記者会見で、森保監督が「トレーニングで準備してきたが、私の伝え方がよくなかった」と反省の弁を述べたが、「攻撃的選手をWBに置く」と決断をしたのなら、やはり恐怖心があってもリスクを冒す覚悟を決めないといけないのであろう。