■「ほどけやすい」ヒモや「ほどけない」結び方も

 一生懸命にプレーしていた40代の初めまで、私は普通の「蝶結び」をしていた。しっかりと結び、長ければ躊躇することなく切って適度な長さにした。

 買ったシューズには、たいていナイロンで編んだシューレースがついていた。耐久性を考えてのものだっただろう。だがナイロン製だとほどけやすい。シューズを持ち帰ると、私は綿糸で編んだシューレースにつけ換えた。家には、何ペアかの新品の綿糸製シューレースが常備されていた。気をつけてしっかり結んだから、普通の「蝶結び」でも緩むことはなかった。

 ところが、最近、女子チームの選手たちを見ていて、興味深いことに気がついた。サッカーシューズを履くときに、多くの選手がかなり複雑な結び方をしているのだ。

「蝶結び」した後に「輪」の部分をもういちど「片結び」する者。最初に左右のヒモを「蝶結び」の前の最初の「片結び」のときに1回ではなく2回通す者、2回通した後に最初の例のように「蝶結び後の片結び」をする者。さらに複雑な手順で結ぶ者(結ぶ選手は慣れているので手早く結ぶから、見ていても理解できない)…。

 調べてみると、YouTubeでさまざまな「ほどけない結び方」が紹介されている。「イアンノット(knotは「結び目」の意味)」、それを強化した「イアンセキュアノット」、私には複雑怪奇にしか見えない「ベルルッティノット」など、動画を見てゆっくりやってもなかなかできそうにない。

 ちなみに、「ベルルッティ」はフランスの高級紳士靴ブランドの名だが、「イアン」は「オーストラリアの靴ヒモおじさん」とでも呼びたくなるようなイアン・フィーゲンさんが考案したものである。フィーゲンさんは1962年生まれの62歳。メルボルンに在住し、「Ian‘s Shoelace Site」という靴ヒモの専用サイトを運営して、この世界ではナンバーワンの権威らしい。

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