■狙われた「低い位置」でのボール交換

 するとこの日、マチェイ・スコルジャ監督は、シーズン前半の好調時に固定できていた渡邊凌磨とサミュエル・グスタフソンの共存を、安居海渡が支える中盤が象徴的なメンバーをスタメンとして選択。サポーターの大声援に後押しされた選手たちは、立ち上がりから鹿島としっかり戦ってみせ、スタジアムの熱気をさらに高めた。

 しかし14分、鈴木優磨の寄せに対し、西川周作がキックミス。ルーズボールを鈴木がゴールへと流し込み、鹿島に先制点が入ることになった。

 唐突なゴールとなったが、浦和の低い位置でのボール交換はこのところ積極的に狙われており、先の川崎戦でもそこから失点となっていたばかり。

 鹿島も「ミーティングで、粘り強く行けば何か起きる、という話をしていた」(鈴木)と、狙っていた形だった。

 勝つしかない浦和は、鹿島側が「5回やったら4回負けている試合」(鈴木)と評すことになる反撃を続けたが、ボールを持たれた鹿島は持ち前の高い献身性を発揮。チーム一丸、という言葉がピタリと当てはまるプレーを続け、勝利へ近づいていった。

 終盤には関根貴大やイサーク・キーセ・テリンが1点ものの場面を迎えたが、早川友基がビッグセーブを連発し、鹿島が苦しみながらも逃げ切りに成功。京都が敗れたため、2位に勝ち点3差をつけて単独首位に立った。浦和は残り8試合で勝ち点11差に。

「勝ち筋をどう見つけるか、選手たちで試合の中で解決してほしいと送り出した。非常にまとまってよくやってくれた」(鹿島・鬼木達監督)、「タイトルを目指すならば、このような負け方をしてはいけない」(浦和・スコルジャ監督)という両監督の総括通り、優勝できるチームなのかどうか、という残酷なコントラストが示された一夜となった。

■試合結果

浦和レッズ 0-1 鹿島アントラーズ

■得点

14分 鈴木優磨(鹿島)

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