
FC町田ゼルビアが、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)に初挑戦している。J1初挑戦の昨シーズンは、「戦い方」について幾多の議論を呼んだ。その「異質さ」は、ACL初戦のFCソウル戦でさらに鮮明になったと、サッカージャーナリスト後藤健生は指摘する!
■「負けなくてよかった」という内容の試合
AFCチャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)のデビュー戦となったFCソウル戦。FC町田ゼルビアにとっては、ほろ苦い引き分けスタートとなった。
公式記録によればシュート数ではホームの町田の13本に対して、ソウルは5本。他の指標を見ても町田が上回ってはいた。
だが、「引き分け」という結果は妥当なものだったし、町田としては「負けなくてよかった」という内容の試合だった。
キックオフ直後の2分、相手ボールを奪った羅相浩(ナ・サンホ)が強烈なシュートを放ち、町田は順調な立ち上がりかと見えた。そして、その後も町田がボールを握る時間は長かったが、なかなか崩し切る形ができず、前半はシュートわずか3本に終わってしまった。
中盤から前線へのパス供給がうまくいかなかったのだ。そして、長身の呉世勲(オ・セフン)や望月ヘンリー海輝を狙ってロングボールも多用したが、キックの精度に欠けた。とくに、左センターバックの昌子源から望月へのダイアゴナルのキックはほとんどが直接タッチラインを割ってしまっていた。
チームとしてなかなかチャンスを生み出せなかったので、町田の攻撃は相馬勇紀や羅相浩のドリブル突破など、個人能力頼みのものが多くなった。
前半38分には、上がってきた右サイドバックの崔俊(チェ・ジュン)を林幸多郎が倒してPKを宣告されるピンチもあった。このときは、VARが介入してPK判定が取り消されたが、これはオンフィールドレビューに長い時間がかかったことからも分かるように、実に微妙な(どちらとも言える)プレーだった。