■期待に「応えてほしい」パワープレー要員

【53分の渡邊新太の逆転ゴール】
 GK松原修平のロングフィードのセカンドボールを拾った加藤千尋が渡邊にパスして、シュートを決める。難しいシュートだが、迷いなく足を振って決め切っている。

 メンタル面もフィジカル面もスキル面も飛び抜けているのが、現在の渡邊である。そして、前に運ばれたボールに全速力で追いかけた加藤のプレーも効いている。

 体勢を崩しながらも粘り強く渡邊にパスを出す。加藤からパスを出される前に、相手DFとの距離を考えてポジショニングし直す。さらに、柔らかくトラップしたボールをバランスよく振り切ってゴールする。高い技術力が発揮されたシュートだった。

 

【89分の有田稜の同点ゴール】
 右サイドからのロングボールに対し、相手と競り合うフォファナ・マリック。

 マリックは、79分に知念哲矢に代わってピッチに入ってきた。185センチのマリックが交代出場した理由は、ロングボールを跳ね返す高さを求められてのことである。しかし、この大事な場面で、バックステップからのヘディングは難しいとしても(相手もバックステップしながらのヘディングだった)、相手に先に飛ばれてしまい、ボールに触れることもできない。

 これでは、なんのためにピッチに送り込まれたのかわからない。そして、相手にヘディングされたボールが有田のところに転がって、同点シュートが生まれてしまう。体をもっと相手に押しつけるとか、細かいせめぎ合いもしていない。はっきり言って、パワープレー要員と言ってもいい交代だったのだから、そうした期待には少しでも応えてほしいものである。

 次の水戸の戦いは、9月13日のベガルタ仙台との戦いである。アウェーの地、ユアスタでの一戦は当然、死闘が予想される。チームを立て直すために、守備では人をマークして、体を張って守り抜くプレーを期待したい。いよいよ残り試合は10となった。ここを、どう乗り切るのか。仙台戦に注目したい。

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