■あまりに「依存度」が高すぎた?
だが、2人のブラジル人への依存度が高すぎるのもチームとしては不安材料でもある。
もし、2人のどちらかが(あるいは2人ともに)使えなかったら、はたして町田のような守備に定評のあるチームを崩し切れていたか? かつてJ1リーグで4度優勝した頃の川崎にも、攻守に力を発揮するレアンドロ・ダミアンという優れたブラジル人FWがいたが、レアンドロ・ダミアンは持ち前のパス・サッカーで崩す川崎の攻撃の中で輝きを放っていたのだ。
それに対して、町田戦の(伊藤の先制ゴールを除く)4得点は、あまりにブラジル人FWに対する依存度が高すぎた。
というわけで、両監督にとっては素直に喜べない試合だったろうが、選手の個人技によって多くの得点が生まれたのは悪いことではない。
FC町田ゼルビアで最高の輝きを放ったのは、3点目を演出した相馬勇紀だった(町田の3点目は、相馬の高速クロスに藤尾翔太が触れて藤尾のゴールとなったが、スタジアムでは得点者は相馬と発表された)。
この夜の相馬のドリブルとクロスのキレは素晴らしかった。前半から対面するファンウェルメスケルケン際を振り切って鋭いクロスを何度も入れた。28分の羅相浩(ナ・サンホ)の1点目も、まさにその相馬のクロスによって生まれたゴールだった。
相馬は7月のE-1選手権でもジャーメイン良のゴールを引き出して日本代表の優勝に大いに貢献した選手。今回のアメリカ遠征に招集してもよかったような気がする。