後藤健生の「蹴球放浪記」第280回「何度も遭遇した審判員たちの思い出」の巻(2) Jリーグを救ったキングカズの「魂の一撃」とシリア人レフェリーの「3枚のレッドカード」の画像
Jリーグを救ったのは「魂を込めた」キングカズ三浦知良の一撃と…。撮影/中地拓也
■【画像】メイディン・ビン・シンガーが笛を吹いた木村和司の「伝説のFK」が生まれた一戦

 Jリーグ8月の2試合、FC町田ゼルビア対ガンバ大阪戦とFC東京対京都サンガF.C.戦で笛を吹いたのは、エルサルバドル人レフェリーだった。そして、サッカージャーナリスト後藤健生が思い出したのは、彼が主審を務めた日本サッカー史に残るカタールW杯での勝利のこと。そして、改めて考えたのは「レフェリーの重要性」と「今後の取り組み」だった!

■代表戦で「何度も笛を吹いた」審判

 実際、「あ、またあの審判だ」という事例はけっこうあります。

 たとえば、1990年代の初め頃、日本代表の重要な試合になるとよく担当していた審判がいました。シリア人のジャマル・アルシャリフです。

 たとえば、日本代表が優勝した1992年の広島アジアカップ。

 開幕から2戦連続引き分けに終わった日本代表。3戦目のイラン戦も0対0のまま推移し、このまま引き分けに終わればグループリーグ敗退という瀬戸際に追い込まれましたが、85分に「魂を込めた」カズ(三浦知良)のゴールで日本がリード。その後、逆に敗退の危機に直面したイランが猛攻をかけてきましたが、そのイランに3枚のレッドカードを突きつけたのがアルシャリフでした。

 もし、この大会でグループリーグ敗退に終わっていたら、Jリーグ開幕を翌年に控え、サッカー人気に水を差されていたかもしれません。その意味で、このイラン戦というのはとても重要な試合でした。

 そして、決勝のサウジアラビア戦でもアルシャリフ主審が担当。高木琢也のゴールを守り切った日本が優勝しました。

PHOTO GALLERY ■【画像】メイディン・ビン・シンガーが笛を吹いた木村和司の「伝説のFK」が生まれた一戦
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