■日本で行われる試合の「99%」以上
審判ウエアの「カラー化」が始まったのは、1994年のワールドカップ・アメリカ大会だった。黒のほかに、ワインレッド、黄色、白の3色から、その試合の対戦チームのユニフォームカラーとの区別のつきやすいものを選んだ。その夏からのイングランド・プレミアリーグでは、黒とともに緑の審判ウエアが使われた。ワールドカップもプレミアリーグも、テレビからの要請によるものだった。そしてJリーグでも、1995年からカラー審判ウエアが登場した。
サッカーといえばプロの試合しか見ない人には、黄色や赤のシャツを着たレフェリーが当たり前かもしれない。しかし、日本中で行われているサッカーの試合の99%以上は、黒いウエアに身を包んだ審判員たちによって進められているということを、ぜひとも知ってもらいたいのである。
さて、実はこれからが今回の本題である。「サッカーの審判員は、なぜ黒のウエアを着ているのか―」。少し長い話になるが、ぜひつきあってほしい。
サッカーという競技は1863年に英国のロンドンで「フットボール・アソシエーション(FA、イングランドサッカー協会)」の設立とともに誕生した競技である。しかし「フットボール」の原型は、中世から存在した。
村と村の対抗で、人数も時間も決まっておらず、「フットボール」とはいえ、足で蹴るだけでなく手で扱ってもよく、ともかく相手の村の門にボールを入れれば勝ちというものだった。いわばルール無用の「憂さ晴らし」のような行事だったのである。あまりに乱暴でケガ人が続出するため、たびたび国王から中止命令が出たほどだった。
そうした、なかば暴動のような行事であった「フットボール」を教育の一環として採り入れたのが、18世紀後半の「パブリックスクール」だった。








