■「チェ」と並び称された「マオ」
こんな長閑な小さな街の瀟洒な家で育った喘息持ちの少年が、南米放浪を経て革命に目覚め、革命に殉じるようになるのですから人生というのは不思議なものです。
ところで、チェ・ゲバラの本名はエルネスト・ゲバラ。「チェ」というのはニックネームのようなものです。もともとは、アルゼンチンの方言で相手に呼びかける「おい」といった意味の言葉で、ゲバラがよく口にしていたのをキューバ人が面白がってニックネームにしたそうです(両国のスペイン語の方言はかなり違っているので、キューバ人から見たらアルゼンチンの言葉はえらく訛っているように感じられたことでしょう)。
1960年代には「チェ」と並んで革命のシンボルとなった人物がいました。「マオ」つまり中国共産党の毛沢東(マオ・ツォートン)です。「英雄的ゲリラ」と並んで「マオ」のシルエットもシンボルとして使われました。「永久革命」を唱え、文化大革命で古い事物を徹底的に破壊した「マオ」も、「チェ」と同じような革命家として意識されていたのです。








