■良さが消えて「サッカー離れ」が起きる!

 さて、「安全第一」思想はサッカー界も無縁ではない。

 前回のコラムでは「8秒ルール」の適用開始の話題から、アクチュアル・プレーイングタイム(サッカーの試合において、実際にボールがプレーされている時間のこと、省略してAPTとも)増加のための方法について考えてきた。

 ゴールキーパーがボールを持つことで、時間が浪費されることを防ぐために「8秒ルール」がつくられたのだが、プレーが止まるのはそれだけではない。

 セットプレーのたびにプレーが何十秒も止まり、VARが介入して何分も待たされる……。結果として、アディショナルタイムが10分に及ぶことも珍しくなくなってしまった。

 試合の流れが途切れて観客はしらけるし、帰宅時間は遅れ、放映時間内に試合が終わるかどうか地上波中継のスタッフをやきもきさせる……。

 試合が途切れないことや所定の時間内で試合が終わることがサッカーというスポーツの良さだったはずなのに、このままではサッカー離れが起こってしまうのではないか。

 そのためには、たとえばVARの運用方法は見直すべきだし、セットプレーでも試合再開までに時間制限を設けるべきだろうというのが、前回のコラムの趣旨だった。

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