■長友佑都が示したもの

 後半になると前向きな姿勢はより加速。俵積田、佐藤龍之介というFC東京トライアングルで攻撃を組み立てるシーンもあった。
 森保監督は後半35分過ぎに安藤を5枚目の交代要員として送り出そうとした。これはおそらく長友の消耗を考えてのことだろうが、最終的には交代を変更。中村草太(広島)にスイッチした。これも「今の佑都ならフル出場させても問題ない」という判断したからに違いない。それも含めて、長友は「まだまだ国際舞台で90分間戦える」という事実を身を持って示したのである。
「対人ではまだまだやれる自信があるんで。全てのレベルを上げなきゃいけないんですけど、そこは負けないっていう自信とともに今日も入りました。空中戦も身長は小さいんですけど、強みというのは持っているんで、気持ちをともにみなさんに見せられたのは非常によかったなと思います」と本人も2年7か月ぶりの代表戦を2-0の勝利で終えて、安堵感をにじませた。
 もちろん今回の中国が2026年W杯で対峙する難敵よりレベルが下がるし、この日のパフォーマンスだけで太鼓判を押せるわけではないが、「長友なら必ず一定以上の水準で仕事を遂行してくれる」という安心感を示したのは確か。新ポジションで新境地を開拓したことを含め、彼は5度目のW杯に大きな布石を打ったと見ていいだろう。
(取材・文/元川悦子)
【「後編」に続く】

(2)へ続く
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