■長友佑都「今後へのメッセージかなと捉えました」

「これは今後へのメッセージかなと捉えました。ウイングバック(WB)ではなく、3センターの左ということで、日本には(人材が)多くないポジション。町田(浩樹=ホッフェンハイム)や伊藤洋輝(バイエルン)という素晴らしい選手たちがいますけど、多くはない。ケガもありますし、僕がここでしっかりとできることを示せれば、W杯メンバーに食い込んでいけると。自分自身もそのメッセージはしっかりと感じていました」
 長友は神妙な面持ちでこう話したが、確かにその通りだ。日本が本気でW杯上位躍進を目指すなら、多彩な役割をこなせる人材を揃えなければいけない。大ベテランであろうと、両WBとサイドバック(SB)だけでは不十分。もう1つポジションを増やすことが生き残りの重要ポイントだったのだ。
 指揮官の意図を脳裏に焼き付けた長友は植田直通(鹿島)、綱島悠斗(東京V)らとともに最終ラインを統率。持ち前の対人守備の強度、間合いを詰めながら1対1で勝てる能力を前面に押し出した。早い段階で細谷真大(柏)の先制点が飛び出し、1点をリードしたこともプラスに作用したのだろうが、大ベテランは久しぶりの代表戦でも決して慌てることなく、落ち着き払っていた。
 前半で特筆すべきだったのが、27分に見せたヘディングでのクリア。目の前に自分より長身の10番・ウェイ・シーハオが飛び込んできたが、タイミングよくジャンプし、制空権を制圧。小柄なCBでも競り勝てることを実証してみせた。
 そのうえで、徐々に高い位置を取り始める。前半終了間際には、下りてきた細谷にボールを預け、FC東京の同僚・俵積田晃太がしかけ始めると、スルスルとペナルティエリア内に侵入。自身がゴールを狙う野心ものぞかせた。

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