■“逆乗っかり”で訪れたチャンス
7月5日のJ1リーグ第23節の鹿島アントラーズ戦は、クラブの伝統的な献血推進イベント「噂のケンケツSHOW」が予定されていた。川崎市、神奈川県赤十字血液センターとの三者主催で行われるこのイベントでは、「笑いで血行促進!!」をテーマにお笑い芸人を呼ぶことが通例となっており、今年は、12人が来場した。
キングオブコント2021で準優勝していたザ・マミィはその中の2人ではあったが、昨年の時点ですでに「オファーを出そう」という空気が社内にできていたという。きっかけは、昨年10月に開催された「カワハロ」の通称で知られている川崎フロンターレのハロウィンイベントにあった。選手が大胆な仮装に挑戦する、サッカークラブとは思えぬこの企画で、移籍してきたばかりの河原創がザ・マミィの酒井貴士に扮した。河原が酒井に似ている、というコメントがSNSで広がったことにクラブは目をつけて、“素材”を生かす形で、トライしたのだ。
すると、それにザ・マミィも共鳴。相方の林田洋平がクラブオフィシャルショップに駆け付けてユニフォームを購入し、酒井に着用させて“逆仮装”をしてみせたのだ。
「これはいける!」
フロンターレのフットボール事業統括部プロモーション部イベントグループに所属する北森達也は、確信を得た。その高揚感に押され、気づけば社内でオファーの話を通していた。