■ゼロからの出演交渉
実際にオファーを出したのは、今年の春に入ってからだ。いざその時が来て、北森はお問い合わせフォームのボタンを押して、企画を送った。
川崎フロンターレというビッグクラブがお問い合わせフォームを通して依頼するのは意外かもしれないが、ここにもフロンターレらしさが詰まっている。
「最初、人力舎さん(ザ・マミィの所属事務所)とつながりがなかったんです」と北森は振り返るが、通常、縁がなければそこで諦めてしまう人も多いはずだ。しかも、オファーの根拠は「2人が似ている」の一点だけである。しかし、ザ・マミィの“逆乗っかり”に「面白くなる!」と自信があったからこそ、ゼロベースから交渉した。
そして、事務所側との打ち合わせに足を運び、すぐに具体的な話を進めていったという。
かつてはイベント担当もしていたフットボール事業統括部プロモーション部広報グループの森澤諒大も、体当たり交渉についてこう言葉を足す。
「つながりがあればそこからのパターンもありますけど、今回みたいにつながりがない場合は、お問い合わせフォームという完全にゼロから、”なんとか、一回会わせてください”ってところから入って、一回お会いできれば、その場で直接、熱量や思いをぶつけるっていう“当たって砕けろ精神”でやってるところが大きいですね」
そうした熱量が、イベントより前に実施された幾重ものプロモーションに現れた。そして、「2人が似てるっていうことがきっかけではありますけど、ただのモノマネで終わらせたくなかった」と森澤が熱弁するように、2人のアイデアがさまざまに花開いていく――。
(取材・文/中地拓也)
【「その2」に続く】