
サッカーの東アジア最強国を決めるE-1選手権が始まった。日本代表は初戦で香港に6-1と大勝を飾った。その理由と、2戦目の中国戦での注意点を、サッカージャーナリスト後藤健生が現地からリポートする。
■遺憾なく発揮された「経験値」
ゲームキャプテンを任されたのは、左ウィングバックの相馬勇紀だった。国際試合の経験がほとんどない選手が多い中で、アタッカーとしては唯一キャップ数が10を超えている(14)のが、相馬だった。
そして、その相馬がその経験値を遺憾なく発揮した。
もちろん、大きなサイドチェンジを受けた右ウィングバックの久保藤次郎がドリブルを仕掛ける形もあったが、日本の攻撃は左サイドで始まることが多かった。
相馬が3バックの左に入った古賀太陽からパスを引き出し、インサイドハーフの宮代大聖を使って攻撃を組み立てる。そして、余裕を持って正確なクロスを何本も上げた。
そのクロスを受けて開始4分でシュートを決めて見せたのが、代表デビューのジャーメイン良だった。胸で止めて、反転して落ち際をボレーで決める見事な先制弾。2点目も再び相馬のクロスに合わせて、巧みにゴールの枠内に落とした。
サンフレッチェ広島に移籍した今シーズンは、ゴール量産とはいかずに苦しんでいるジャーメインだが、さすがのシュート技術(試合後、元広島の森保一監督はJリーグ後半戦での活躍を期待するコメントも発した)。
ジャーメインにとっては26分までに4ゴールという衝撃的な代表戦となったが、その勢いを引き出したのは相馬からの正確なクロスだった。試合の流れを作ったという意味でも、相馬の貢献度は高かった。