■抜けた「戦力の差」が勝敗を決す

 他にも今月の移籍が影響しそうなカードがある。19位アルビレックス新潟と20位横浜F・マリノスの対戦だ。

 現在はともに降格圏に沈んでいる。横浜FMが勝てば勝点2差で追っている新潟を逆転し、新潟が勝てば降格圏脱出の可能性がある。ともに力を振り絞って勝利を目指す試合となる。

 ここまで苦しい戦いが続いている両チームに、悲しいニュースが届いた。新潟では小見洋太が、横浜FMでは永田勝也が、それぞれ他クラブへの移籍を選択したのだ。

 この移籍は両チームにとって痛いが、よりダメージが大きいのは横浜FMだろう。

 新潟にとっても小見は大事な選手だったが、シーズン序盤は先発の機会は少なかった。一方で永田は、今季ここまでのリーグ戦で先発しなかったのは3試合のみ。横浜FMの不動と言えるサイドバックだったのだ。

 リーグ戦で連勝して息を吹き返すかにみえた横浜FMだが、ミッドウィークの天皇杯でJFLのチームに敗戦。先発の入れ替えがあったとはいえ、前半だけで2ゴールを許して殴り返さないままに敗れた事実はあまりに重い。

 一方の新潟は、天皇杯で延長戦までもつれ込んだが、なんとか勝ち切った。下位に沈んでいる両チームにとって、チームの空気を左右するミッドウィークの結果は軽視できない。

 通算成績では横浜FMが勝ち越しているが、今回対戦する新潟のホームでは新潟が勝ち越しているという事実もある。今季ここまでのJ1での得点、失点とも横浜FMを1点差で上回る新潟が、直接対決でも僅差で勝利をつかみ取るだろう。

 後編では、上位を争うチームに襲いかかる下剋上の波について予想していこう。

(2)へ続く
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