■名選手であると同時に「エンターテイナー」

 さて、長嶋茂雄という選手はとにかくやることが派手で、劇場型の選手でした。

 三振するにしても、フルスイングをしてヘルメットを吹っ飛ばすのが絵になるのです。

 長嶋本人も意識して、わざと吹っ飛びやすい大き目のヘルメットを使っていたのです。

 三塁手としての華麗なフィールディングも人気を集めましたが、これも簡単なゴロでもわざと派手なスローイングを見せたり、遊撃手に処理させればいいようなボールでもダッシュして補給して難しい体勢から送球することで観客にアピールしていたようです。

 彼は名選手であると同時に、優れた「エンターテイナー」でもあるのです。しかも、そうした計算したプレーをしながらも、その天然系のキャラクターのおかげで“あざとさ”を感じさせないところが長嶋という人の人徳なのでしょう。

 とにかく、いわゆる「キャラが立った」選手でした。そして、長嶋(と“求道者的な”王貞治)の存在が、日本の社会においてプロ野球というスポーツの地位を確立することにつながったことは間違いないでしょう。

 そういえば、昔の大相撲やプロ野球のスターたちは、みんなキャラが立っていました。というか、さまざまなニックネームや形容句が付いていました。

 相撲で覚えているのは「褐色の弾丸」や「人間起重機」です。前者は房錦という押し相撲でならした力士。後者は明武谷。吊りを得意とする力士なので、そう呼ばれていました。2人とも、大雑把に言えば長嶋と同じ世代の力士です。

 野球でも、巨人の川上哲治は「打撃の神様」とか「赤バット」と呼ばれており、対抗して大下弘は「青バット」と呼ばれました。まあ、長嶋茂雄などは、その存在自体キャラが十分に立っているのでニックネームは必要なかったのでしょうが……。

(2)へ続く
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