■2年前の惜敗「今度こそは」の思い
前日の夕食時に隣のテーブルにいた中年の夫婦はパレルモから飛んできたと言って笑った。
「私たちチケット持っていない。でも、そんなイタリア人が4万人もここミュンヘンに来ているの」
「インテルが優勝する瞬間にミュンヘンにいたい」という理由だけで、インテリスタは「モナコ・ディ・バビエラ」にやって来た。インテリスタが数人、大声で夜の街を歩いてた。
ファンは2年前、ウェンブリーでマンチェスター・シティに1-0で惜敗したインテルに今度こそという思いを抱いて当然だった。
それなのに、彼らは悲惨な結果を目撃することになってしまった。
セニー・マユルに5点目を決められた。
レフェリーのイシュトバン・コバチはアディショナル・タイムを取ることなく、情けを見せて、試合終了の笛を吹いた。
インテルの選手たちはパリの選手たちが歓喜する中で、サポーターの前にたたずんでいた。
ファンから罵声も浴びせられたが、完敗は事実だった。ラタウロ・マルチネスはヒザに両手をついたまま動かなかった。
セレモニーでインテルの選手たちはパリSGのマルキューニョスらがトロフィーを掲げる瞬間まで表彰台のかたわらのピッチで、悔しさをかみしめていた。