■もう一度目指す場所

 ここまでの7連勝を振り返っても、1点差勝利が4つと、鹿島は”ギリギリのキワ”のところで勝ち切ってきた。複数失点したのは、4月6日の京都サンガ戦まで遡らなければいけないが、それだけ守護神・早川友基や植田直通ら最終ラインが体を張って相手の攻めを跳ね返していたのである。
 その堅牢な守備組織を取り戻さなければ、彼が首位を走り続けることはできない。それを再認識したという意味で、このマリノス戦の敗戦は大きな価値があったと言っていい。
「もう一度、自分たちが目指す場所だったり、やらなきゃいけない戦いっていうのを再認識させられたと思う。またしっかり準備して、次のアウェー戦(5月31日のガンバ大阪戦)に勝てるようにしたいです」と鈴木優磨は気丈に前を向いていたが、今こそ原点回帰が重要。それをキャプテン・柴崎を中心にチーム全体に浸透させていくべきなのだ。
「我々のやることは変わらない。前節(志水エスパルス戦)でもいくつかあったが、攻撃でもっと人をかけていかないといけないところもあるし、守備ももう1回切り替えて前からいくことが大事。全体で迫力を持って1つずつ積み上げていきたいと思います」と名将・鬼木監督も神妙な面持ちで話したが、ここからが鹿島の本当の勝負なのだ。
(取材・文/元川悦子)
【「後編」へつづく】

(2)へ続く
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