■「ベガルタは死んでいない」

 試合は0対0のままハーフタイムを迎え、60分を過ぎても動かない。千葉は左SB前貴之、左サイドを中心に動くセントラルMF横山、それにMF椿のコンビネーションによる崩しが鋭さを増していく。

 0対0のまま推移する試合を、どうやって動かすのか。交代選手の投入もポイントになってくる。

 先に手を打ったのは、仙台の森山佳郎監督だった。67分、FWエロンと左MFオナイウ情滋を下げ、FW梅木翼とDF石尾陸登を送り込む。石尾は左SBでの出場が多いが、この日は左MFに立つ。左SB奥山政幸の守備力を担保しつつ、DFながらドリブルの推進力がある石尾を起用したのだった。

 森山監督は79分にも動く。右MF郷家友太を下げ、右DF高田椋汰を投入する。右SB真瀬拓海が右MFへポジションを上げ、高田が右SBに入る。ゴール前へ飛び出していける真瀬を残してカウンターを狙いつつ、相手の攻撃にも備える采配だ。

 最終盤にはFW宮崎鴻も投入し、梅木とのふたりで高さと力強さに活路を見出す。しかし、ゴールをこじ開けることはできなかった。

 RB大宮に0対3で完敗した前節を反省材料として、仙台は彼ら本来のプレー強度とトランジションのスピード、それに自陣からのビルドアップで首位の千葉に対抗した。前半にいくつかあった好機を生かしていれば、スコアを刻むこともできただろう。シュート数、枠内シュート数では、千葉を上回っている。

 森山監督は「最後に決め切るところは積み上げていきたい」としつつ、「何度か惜しいチャンスは作ることができたので、手応えとしてはかなりありましたけれど、勝点3を取って勝点差を縮めることはできませんでした。ただ、ベガルタは死んでないぞというところを示すには、十分の試合だったかなとは思います」と話した。

 17、18日に行なわれた全試合の結果を受けて、仙台は3位から4位に後退した。8戦負けなしの4連勝と好調の水戸ホーリーホックに勝点で並ばれ、得失点差で3位を譲ることとなった。

 ゴールデンウイークを挟んだ5連戦を経て、リーグ全体では少しずつ勝点差が開いている。1試合で大幅に順位が入れ替わる、という状況ではなくなってきた。

 仙台の次節以降の対戦相手は、17位のいわきFC、12位の北海道コンサドーレ札幌、13位のモンテディオ山形だ。いわきはRB大宮やV・ファーレン長崎から勝利をつかんでおり、札幌と山形はJ1昇格候補にあげられていたチームである。

 どの試合も簡単ではないが、自分たちより下位のチームを退けることがJ1昇格への道を開く。それは間違いない。仙台にとって、負けられない試合が続く。

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