■必要不可欠な乾貴士の存在
前半はボール保持力に秀でる柏を何とか封じたが、後半開始早々の7分に一瞬のスキを突かれ、垣田裕暉に失点。仲間隼斗の抜け出しに羽田健人が対応しきれず、垣田の飛び出しにも他のDF陣が後手を踏む形になってしまったのだ。羽田、高橋祐治、蓮川の3バックは久しぶりの並びで連携面にやや不安があったのかもしれない。この失点は痛かった。
そこから指揮官は乾や松崎を投入。乾が決定的シュートをお見舞いしたが、これは清水アカデミー育ちの犬飼智也に阻まれ、ゴールを割れなかった。終盤にはドゥグラス・タンキも入れて前線に厚みを持たせたが、最後までゴールが遠かった。
こうした試合運びを見ていると、今の清水は選手層が足りないという印象が拭えない。さまざまなゴールチャンスを作り出せるのは、乾、北川、松崎が揃って出ている時。特に乾の存在が必要不可欠だ。けれども、彼も6月には37歳。連戦はさすがに厳しい。これから気温が高くなり、体力的な消耗度が上がる中、彼に頼らない攻撃をどう組み立てていくのかは悩ましい問題だ。
いい時は勢いが出るが、劣勢に陥るとなかなか修正できないという「好不調の波」も課題。J1に定着し、上位を目指そうと思うなら、悪い流れでも勝ち切れるようなタフさやしぶとさが必要。それを身に着ける必要があることを、彼らはこの2連敗から学んだのではないか。
(取材・文/元川悦子)
(後編へつづく)