Jリーグ勢に不利な「完全アウェーの大会」、川崎が手にした「9億円超」の賞金と失われた「公平性」、難しい「優勝」【川崎フロンターレ準優勝とACL・エリートの「大問題」】(3)の画像
準優勝した川崎フロンターレ。 彼らの偉業は素晴らしいことだが、大会の公平性をもう一度、見直すことはできないものか? 撮影/中地拓也

 AFCチャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)で、川崎フロンターレがクリスチアーノ・ロナウド擁するアル・ナスルを破って、決勝戦にコマを進めた。アジア最強クラブを決める大会での準優勝はチームにとって、そして送り出したJリーグにとっても喜ばしいことではあるが、同時にアジア地域のサッカーが抱える「大問題」が浮き彫りになったと指摘するのは、サッカージャーナリスト後藤健生。どういうことなのか、大会を徹底検証する! 

■大きい「ホームとアウェー」の差

 そもそも、大会の開催地はサウジアラビアだった。そして、決勝で対戦したアル・アハリはまさに開催地ジッダのチーム。「完全アウェー」で、スタンドはアル・アハリの6万人のサポーターで埋められていた。

 広大なアジア大陸を舞台にした大会では、ホームとアウェーの差は大きい。

 気候は大きく違い、試合開始の19時30分時点でも32度という環境での試合が続いた。また、今回はJリーグが川崎と横浜F・マリノスのために1億円以上の費用をかけてチャーター便を用意したというが、それでも長距離移動の負担が大きいことには変わりがない。

 たとえば、昨年のACL決勝では横浜がUAE(アラブ首長国連邦)のアル・アインと対戦して敗れたが、ホームでは2対1で勝利している(アウェーで1対5の大敗)。また、一昨年は浦和レッズがアル・ヒラルと対戦。アウェーで1対1の引き分けに持ち込んだ浦和は、埼玉スタジアムでのホームで勝利して優勝を飾った。

 ホーム有利は明らかだ。

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