■「優勝して終わらないと記録にも残らない」

 同じ感覚を準決勝後のミックスゾーンで言葉にしたのは佐々木旭だ。アジア王者を目の前にした気持ちを聞くと、「優勝して終わりたいですし、優勝して終わらないと記録にも残らないと思うので、本当にこだわってやっていきたい」と話すのである。
 タイトルの価値を知っているのはこのクラブの強みでもある。長らくシルバーコレクターの異名を持っていた中で、初めてタイトルを取ってから立て続けに星を重ねるようになった。鬼木達前監督が「タイトルを取らないと分からないものがある」と繰り返してきた言葉を、地で行くクラブなのである。
 今回だけに限らず、負けることで得るものは間違いなくあるだろう。ただし、勝たなければ手にできないものがある。クラブ未踏の地に足を踏み入れることでどのような未来が拓けるのか。その答えを探すために、5月3日のジェッダで勝利を掴む。
(取材・文/中地拓也)

  1. 1
  2. 2
  3. 3