【川崎が挑む“アジア青覇”決戦「密着ドキュメント」(2)】長谷部監督「1位と2位は大きく違う」、佐々木旭「優勝して終わらないと記録にも残らない」……“勝つことの意味”を掴むためにの画像
アル・ナスル戦後にバラバラを響かせる川崎フロンターレ 撮影:中地拓也

 2023年6月7日に等々力競技場で始まったこの物語の結末は2つしかない。泣くか、笑うか、だ。

 当時JFLだった栃木シティFCを相手に平日水曜日に行われた90分から紡いできたものが、サウジアラビア・ジェッダで結末を迎えようとしている。日本中が、いや、アジア中が注目を向けている中での出来事である。
 決勝進出を決めた準決勝アル・ナスル戦翌日、長谷部茂利監督に4日間で2つの“クリア”をした気持ちを聞いてみた。つまりは、アルサッドを破ってクラブ史上初のベスト4進出を決めたこと、そして、中2日で迎えたアル・ナスル戦に勝利してファイナリストの座を射止めたことについてである。
 指揮官は笑顔で、「どちらも嬉しいんですけれども、ベスト4に入った時はほっとしました。今回はその“ほっとした”を超えて嬉しい度合いが強い」と明かす。そして言葉を口にするその表情が、何よりもその気持ちを雄弁に物語っていた。
 そんな指揮官に“決勝の意味”を聞けば、今度は一転して真剣な表情で「クラブの立ち位置がより高い位置に行く」と力説する。そして、「Jリーグにアジアチャンピオンになったチームがありますけれども、そこに肩を並べる、過去とか未来の話ではなくて、今・現在そうなるというクラブにとっては大きな出来事になる」とも話す。
 だからこそ、こうも話す。
「1位と2位は大きく違うと思います。十分にやれたからよかったねって言ってくれる人もいますけれども、やっぱりタイトルを取ると取らないとでは大きな違いがあります」と。

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