
サッカーU-17日本代表が、年代別ワールドカップの出場権を手に入れた。だが、手放しで喜べることではないと、サッカージャーナリスト後藤健生は言う。A代表以外、年代別の日本代表がアジアで苦戦しているのには、若い世代の日本代表に共通する、ある「問題」があるという!
■相手の「守備の弱点」はどこか
日本チームに足りなかったもの、その2。
それは、相手の得点源を潰すため、相手の弱点を突くための「ゲーム戦術」だ。
日本がボールを握ってゲームを支配しているのに、一発の攻撃から抜け出されたり、カウンターを決められて失点してしまう。U-20でも、U-17でも何度も同じことが繰り返されてきた。
対戦相手には、たいてい特徴のある選手が2人か3人いる。スピード系の選手もいれば、フィジカル系の選手もいる。特別にパスのセンスの良い選手もいる。
ただし、そういう選手が11人そろっているわけではない。それなら、その警戒すべき選手をしっかり押さえにいくのが勝つための方策ということになる。
だが、どうも、そうしたゲーム戦術の部分が足りないように思われるのだ。
「ゲーム戦術」の不足は、攻撃面でも言える。
相手の守備の弱点がどこにあるのか、クロスに対する対応なのか、中央での守備なのか……。そのあたりを、しっかりと意識して攻撃することによって、得点は生まれやすくなるし、日本チームとしても攻撃がスムースになるのではないか。
だが、Uー20アジアカップを見ても、Uー17アジアカップを見ても、そうした「ゲーム戦術」の部分はあまり見えてこない。
まるで、年代別代表の試合は育成のためだから、あえて「ゲーム戦術」に頼らないようにして戦っているかのようだ。