
かつては試合ごとの安定感が課題だった高井幸大も、最終ラインの中央で主軸たるプレーを見せている。それだけでなく、闘志あふれる姿やプレーをここ数試合は顕著に見せており、J1リーグ第10節・清水エスパルス戦ではセットプレーごとに他の選手の肩や背中を叩いて鼓舞するなど、頼もしい姿を見せる部分も多くあった。
今シーズンが始まった際に意気込みを聞くと、「リーダーシップを見せたい」と話してくれたが、その目標は早くも実現しつつあると言える。IAIスタジアム日本平のミックスゾーンで、清水戦だけでなく最近の試合でそうした頼もしい姿をさらに見せていたことを言葉にすると、「(チームを引っ張りたい気持ちは)いつもありますし、もっと自分がチームを引っ張っていけたら」とさらに前を見る。
その姿勢は、失点場面について聞いたときも同じだ。チームが疲労にあった中で、つなぐ部分とはっきり蹴ってもいい場面があるのか尋ねれば、「僕のパスも少しリスキーなパスになっちゃって。あのプレーを選択するならやっぱり確実につながなきゃいけない」と自らに矢印を向ける。
そうしたトライで出るエラーは、今季進める長谷部フロンターレのチーム作りにおいて、強固な守備から前進に転じるステップにおいての過渡期のものにも感じたので聞いてみると、「(川崎は)攻撃で相手を上回るチームだと思う」と自ら持つフロンターレ像を話したうえで、「(ここ数試合でつなごうとして)ボールを失った場面もありましたけど、僕は悪くないとは思っていて。あれを続けることも大切だと思うし、全部蹴ってしまうとFWの選手も毎回競るのはきついと思うし、自分たちの思うような形でやっぱ進まない」とチーム全体を眺めての考えを明かす。
そして、「ミスしたら全員で全力で取り返すだけです。今のチームはそれができる」と話すのだ。実際、この試合では自らゲームを動かそうと、セットプレーなどで積極的なプレーを何度も見せていた。