■簡単ではないミッション
試合後、長谷部監督には後半の交代策についても聞いている。ハーフタイムでの交代も含めてどのように考え、そして、選手にどう呼びかけていたのかと。
というのも、残り1回しかない交代回数だけに、流れを加速するにしても取り戻すにしても重要なカードとなる交代策について選手にどのように伝えていたか知りたかったからだ。指揮官は「スタートで出た選手に”私は信頼してるから、このままいく”と。一言だけそんな話を送り出しました。 要は”今のメンバーで追いついてこい”と」と答えており、ハーフタイムでの交代を考えていなかったと明かす。アクシデントがあった中でももともとの試合プランをそのまま遂行すると決断したうえで鼓舞していたようだ。
町田戦を終えた川崎は中2日で横浜F・マリノスと対戦し、さらに中2日でアウェイ・清水エルパルス戦を迎える。さらに中3日でアウェイ・ヴィッセル神戸戦に挑むと、中3日で東京ヴェルディ戦が続く。ACLEファイナルステージも控えている中で、これ以上の負傷者を出さずに、離脱者もいるスカッドで勝利し続けるのは簡単なミッションではない。
橘田健人が離脱するであろうことで、ボランチはこれまで大島僚太・山本悠樹・河原創・橘田健人の4人で回していたが、大島のベンチ外も考慮すれば、山本と河原、そして大関友翔の3人が軸となってくるだろう。
この試合で力強いプレーを見せていた河原創に聞けば、こうした難しい流れにおいても勝利するために、やるべきことをしっかりとやり続けることとしている。いわく、「本当に最後の決めるところじゃないですかね。チャンスは作っているんで。あとは、スローインの失点も防げる失点だったと思う」として、得点を決める部分にしても、失点を防ぐ部分にしても、今のチームであればできるという自信があるのだ。
最終ラインも含め、これまでとは違った選手起用やポジション変更を起用すればどこかでバランスやリズムが異なる場面も出てくるかもしれないが、それも織り込み済みで試合に挑まなければいけない。
今シーズン序盤の大一番を前に迎えたこの試練を、改めてチーム全員で乗り越えていってほしい。
(取材・文/中地拓也)