■相手を押し込んだ状態から連動性のあるコンビネーション
こうなると守備で5バックを敷く清水のディフェンスも中央に集まりすぎてしまい、ゴールの両脇が空いてしまった。そこから石原のクロスをファーサイドのマテウス・サヴィオが仕留めたわけだが、これまで5バックの守備に強くないという評価もあった浦和が、相手を押し込んだ状態から連動性のあるコンビネーションで崩し切ったことの意味は非常に大きい。
安居が持った時に、ボランチの”相棒”である渡邊が、タイミングよく斜めに走って行く動きは沖縄合宿のトレーニングで繰り返しやってきたことであり、この時、右サイドにポジションチェンジしていた松本のボールと反対側で、相手のディフェンス間に入り込む動きなども、そうしたトレーニングの中で何度も観た。清水が浦和に引かされた状態で、浦和は7人の選手が相手陣内で攻撃参加していた。要はそういうお膳立てが整えば、コンビネーションと個人能力を融合した、素晴らしい崩しができることを証明するゴールだった。
中盤から見事な動き出しで崩しのアクセントになった渡邊は「我慢する時間帯は必要な中で、いざ攻めた時にゴールまで行くとか、(攻め急がず)1回ボールをキープする。そういうものが噛み合ったシーンだったと思うので。前半から色々と試しながら、早いタイミングでゴール前に行くシーンもあったし、ボールをキープしながら進めるシーンもあった。それらが噛み合う形でうまく行った印象です」と語る。
こうしたシチュエーションは90分間ずっとトライできるわけではなく、相手の攻撃や自分達のポゼッションとカウンターの使い分けなど、シームレスな流れの中で、チームにとってここという場面が訪れる。そこを見逃さずに、モノにしていくことが大事になる。この日の浦和は前半4分に相手のミスパスをマテウス・サヴィオがカットしたところからのショートカウンターから、渡邊が左足のミドルシュートを打って、早くも均衡を破った。