■大黒将志コーチから投げかけられた言葉

 大黒将志コーチからはこの日のシュート練習で指導を受けていた。後進を育てたいという愛ある言葉の中で汗をかく小林に新たな師弟関係について尋ねれば、「本当にフランクに話してくれます」と充実の表情を見せる。
 そして、完全合流を前に言われた言葉を明かす。
「サウジが待っているぞ!」
 大黒コーチは、リハビリに励む小林に向かってACLE・ファイナルズをイメージさせて発奮させたという。
 そして、「最高の舞台で得点取ることを考えて。悠ならやれるよ!」とも投げかけたという。
 小林は、「僕もそのつもりでリハビリを頑張ってましたし、何とか間に合ったんでそこに向けて準備をしたい」と気持ちを新たにする。
 この背番号11は、何度も何度もアジア王者への気持ちを言葉にしてきた。だからこそ、ゴールを決めてアジア青覇に導きたいか尋ねれば、「それはもう本当に」と力強く首肯したうえで、こう続ける。
「今の自分の一番の現役中の夢ですし、ACLのタイトルはやっぱり他の選手たちとは思うところは違うのかな。それに向けてチームが一つになっていい方向に進めるように、自分も力を出したい」
 サウジアラビアで集中開催される最後のステージで、川崎は不利な日程を強いられた。優勝するためには酷暑において中2日で3連勝しなければいけないのだ。
 ただし、こうも考えられる。全員での総力戦で勝利を重ねなければいけないと。
 復帰目前としている小林は、国内での連戦での復帰を足掛かりにサウジアラビアで躍動するイメージを描いている。これまで多くのゴールを記録してきたストライカーの視線は今、チーム初のタイトルへと改めて向けられている。何度もはね返されてきたアジア最高の栄光を、きっと今度こそつかみ取る。
(取材・文/中地拓也)

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