■持っていなかった崩すアイデア

 アジアで上位の実力を持つサウジアラビアが「守る」ことを主眼に置いて戦ってきたとき、日本は崩すアイデアを持っていなかった。ボランチが縦にボールを入れようにもまずスペースが少ない。たとえ通ったとしてもすぐ3人に囲まれるから、もう一度後ろに戻すことになる。
 そしてまたボランチはパスの出しどころを探す。ロングパスで逆サイドに展開して揺さぶろうとするが、ボールが流れたり、マンツーマンで相手のマークがついていて、うまく決定機に結びつかない——。
 こうして考えてみると、森保ジャパンで既視感のある光景だった。日本は問題を解決できていなかった。
(取材・文/森雅史)
(後編へつづく)

(2)へ続く
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