■「どこで出ようとも決め切れる選手」へ
この2分後には左サイドの中村敬斗(スタッド・ランス)の折り返しに反応。あと一歩でゴールというところまで詰め寄る。さらに19分には相手DFから奪ったボールをそのまま持ち込もうとしたが、ドリブルのコントロールが乱れ、シュートに至らない。
代表における今の前田はセルティックのように定位置を保証されていない。そういった目に見えない重圧がフィニッシュワークに影響したところもありそうだ。
「基本、チームでずっと左をやっているので、今はもうそっちの方に僕自身、フォーカスしちゃっているので。でも『どこで出ても』というのは自分でもあるので、しっかりいいプレーしたいなと思ってます」と本人も話したが、「左が主戦場」という意識の強さも、1トップでのブレイクの妨げになっているのかもしれない。
確かに前田の場合は、2022年カタールW杯以降は左サイドでの起用がメインだった。そこには三笘薫(ブライトン)という看板選手がいて、控えの座を中村敬斗と争うという構図が長く続いた。最終予選突入後はシャドウや2トップに陣取ったこともあるが、中途半端な立ち位置だったのは間違いない。
今回の先発1トップ起用はそこから抜け出す絶好のチャンスだった。森保監督も「レベルが高い相手になった時はスピードのある攻撃、タテに速い攻撃が必要になってくる。今日の彼をよさを出してくれた」と前向きに評価したが、やはりゴールという結果がないと説得力に欠けるところがある。73分でベンチに下がった前田は「どこで出ようとも決め切れる選手」になるべく、決定力を突き詰めていくしかないだろう。