■右ポケット侵入が先制点を呼んだ
磐田は23分に先制する。きっかけを生み出したのは、トップ下で2試合連続スタメンの角だ。右サイドからボールを運び、MFジョルディ・クルークスにあずける。そのまま右ポケットのスペースへ走り、クルークスからワンタッチでリターンパスを受ける。
右ポケットへ侵入した角は、相手MF武田英寿のスライディングを切り返しでかわし、左サイドバック奥山政幸と交錯して倒れる。これがPKとなり、クルークスが決めて磐田は先制に成功したのだった。
右ウイングのクルークスがタッチラインを踏むぐらいまで幅を取り、右サイドバック植村洋斗がインナーラップを仕掛けたり、トップ下の角がクルークスを追い越して内側のレーンを使ったりするのは、前節の甲府戦でも見られた磐田の攻撃パターンである。それによって、守備側の目線をズラすことができている。
右サイドバックでは開幕から新加入のDF川口尚紀が出場していたが、ケガにより4節から植村が起用されている。ボランチが本職のこの23歳は、プロ1年目の昨シーズンから右サイドバックで起用され、攻撃の局面でMFとしての資質を発揮してきた。この日もクルークスに連動してポケットへ侵入し、攻撃に厚みと深みをもたらしていた。植村と角による右ポケットの効果的な活用は、前半の磐田が主導権を握る要因となっていた。