■W杯で大躍進を遂げるための必須条件

 3人のシャドウを対戦相手や状況に応じて自由自在に使い分けられるようになれば、日本代表の攻撃力ももう一段階上がるのではないか。そこにまだあまり試せていない旗手玲央(セルティック)や左WB兼任の中村敬斗(スタッド・ランス)、最終予選未招集の鈴木唯人(ブレンビー)らを組み込んでいければ、もっともっと選手層は分厚くなる。特定の選手に頼らない攻撃陣を作っていくことこそ、1年3か月後のW杯で大躍進を遂げるための必須条件なのだ。
 次のW杯は出場国が48に増え、ファイナルまで辿り着こうとするなら、8試合を戦い抜かなければいけない。日本は過去最高がラウンド16だから、4試合しか経験したことがない。その倍を消化しなければ、頂点まで辿り着けないのだから、その道のりがいかに険しいものかがよく分かるだろう。
 しかも、北中米W杯は時差や移動、環境などが大きく変化する。2014年ブラジル、2018年ロシア両大会以上の難易度になるだろう。だからこそ、W杯出場決定で浮かれている暇はない。
 チームの攻撃の生命線であるシャドウのテコ入れは早急に取り組むべきテーマ。今回の久保の成長を生かしつつ、もっともっと点を取れてチームを勝たせられる組み合わせを数多く作っていくべきである。
(取材・文/元川悦子)

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