■名物「キドニーパイ」を注文すると…

 そんなある日のこと、僕はニューカッスルのバス・ターミナルからバスに乗って北に向かいました。約1時間でアルン川河口のアルンマウスに着き、そこからバスはアルン川を遡ります。そして、なだらかな丘に囲まれ、城壁に囲まれたアニックに到着しました。

 到着したのは昼前頃。寒さも厳しく、腹が減っていたので、僕と編集者はバス・ストップの目の前にあった小さな食堂に入って、イングランド名物のキドニーパイを注文しました。牛や豚の腎臓を使ったパイです。

 ふと見ると、店内にはサッカー・チームの写真や「アニックタウンFC」という文字が入った青いマフラーなどが飾ってありました。

「ああ、やっぱりこんな小さな街にもちゃんとフットボール・クラブがあるんだ」と思って、僕は店主に話しかけました。

「日本から、フットボールの取材に来たんですよ」

 店主のダーレン・ミドルトンは、クラブについて熱心に語り始めました。そのうち、「ちょっと待ってて」と言い残して、店の切り盛りは女房に任せてどこかに行ってしまいました。

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